敏感肌とは、健康な肌では何ともないような刺激にも反応してしまい、肌トラブルを引き起こすデリケートな状態のことをいいます。刺激とはたとえば、紫外線、季節の変わり目の寒暖差、花粉、ダニ、黄砂、PM2.5、化粧品などに入っている化学物質、衣類との擦れ、ストレスなど、人によって違います。
その症状の出方もさまざまで、洗顔後に肌がつっぱる、カサカサに乾燥する、少し痒くてヒリヒリするなど、自分でしか気付かない比較的軽度な症状から、乾燥して粉を吹く、湿疹やかぶれ、赤みが出る、耐えられない痒みでひっかき傷ができるといった誰が見ても分かる重度な症状まであります。
このように「敏感肌」には明確な医学的定義はなく、刺激に反応しやすいデリケートな肌状態のことを広く指し示す言葉です。「健康で強い肌」の反対が「敏感肌」というイメージでよいかと思います。
敏感肌とその他の肌タイプの違い
敏感肌は、他の肌タイプ、例えば乾燥肌、アトピー肌、脂性肌とその症状が重なることが多いです。それぞれの肌タイプとの違いを理解することが重要です。
乾燥肌
乾燥肌は、肌に水分や油分が少ないのが特徴です。きちんとケアできずにその状態が続くと、敏感肌になってしまいます。つまり、乾燥肌は敏感肌の初期段階といえるでしょう。
アトピー肌（アトピー性皮膚炎）
アトピー肌（アトピー性皮膚炎）は、正式な皮膚疾患の名前です。アレルゲンや摩擦、化学物質などによる刺激によって、痒みをともなう湿疹ができ、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら長く続くのが特徴です。アトピー肌は敏感肌の種類のひとつであり、超敏感肌といえるでしょう。
脂性（オイリー）肌
脂性（オイリー）肌は、肌に水分と油分が多く、テカリやニキビに悩まされやすい肌のことです。脂性肌でトラブルがないようなら敏感肌とはいえませんが、ニキビ（正式には「尋常性ざ瘡」という皮膚疾患）ができるようなら敏感肌といえます。また、油分が多いところと乾燥しているところが混在する混合肌の方がなりやすい敏感肌として、脂漏性皮膚炎（湿疹）というものもあります。
このように、乾燥肌が悪化すると敏感肌になり、アトピー肌や脂性肌も敏感肌の一種であることがわかります。
敏感肌の原因：バリア機能の低下
敏感肌になる原因は共通しています。それは肌が本来持つ「バリア機能」の低下です。バリア機能とは表皮の一番外側にある角質層が持つ機能で、乾燥をはじめとするさまざまな刺激から肌を守っています。
角質層には「天然保湿因子（NFM）」を含んだブロック状の「角層細胞」がきれいに並んでいて、そのすき間を「細胞間脂質」という成分が満たしています。さらに角質層の表面には、潤いのヴェール「皮脂膜」が覆っています。これらが揃うことで、バリア機能が正常に働きます。
天然保湿因子（NFM）や細胞間脂質、皮脂膜が不足していると、乾燥しやすく、刺激に反応しやすい敏感肌になってしまいます。敏感肌のお悩みには、必要な成分をきちんと補ってバリア機能を正常化させることが大切です。
また生活習慣も大きな影響を与えます。不規則な食事、睡眠不足、ストレス、過度のアルコール、喫煙。そして加齢、女性なら月経によるホルモンバランスも深くかかわっています。肌のお手入れと同じく、生活習慣を整える努力も欠かせません。
敏感肌なら徹底したいスキンケア方法
敏感肌の症状が出ているとき、また敏感肌になるのを防ぐためには、どんなことができるでしょうか。それは、肌に負担をかけないスキンケアを徹底することです。
ダブル洗顔でしっかり落とす
肌にメイクや余分な皮脂、古い角質、ホコリ、花粉などの汚れが残ったまま放っておくと刺激になってしまいます。また汚れが残っているとスキンケア効果も半減してしまうので、「落とすケア」は手を抜かないようにしましょう。
敏感肌の場合は特に、洗浄力の強いダブル洗顔不要タイプではなく、油性の汚れを落とすクレンジングと、水性の汚れを落とす洗顔でのダブル洗顔がおすすめです。
ぬるま湯＋たっぷりの泡でやさしく洗う
熱いお湯で洗顔をすると、皮脂膜が落ち、角質細胞のすき間を埋めている細胞間脂質が溶け出してしまいます。必ずぬるま湯で洗うようにしましょう。
石鹸の泡は細かくたっぷり泡立てて、摩擦による刺激を少しでも減らすことが大切です。
敏感肌のための生活習慣改善
敏感肌の改善には、スキンケアだけでなく、生活習慣の見直しも重要です。以下のポイントを意識して、肌の健康をサポートしましょう。
規則正しい食事
バランスの取れた食事を心がけ、ビタミンやミネラルをしっかり摂ることが大切です。特にビタミンCやビタミンE、オメガ3脂肪酸が豊富な食品は、肌の健康をサポートします。野菜、果物、魚、ナッツ類などを積極的に取り入れましょう。
十分な睡眠
睡眠不足は肌のバリア機能を低下させ、敏感肌を悪化させる原因となります。毎日7～8時間の質の良い睡眠を確保することを目指しましょう。寝る前のスマホやパソコンの使用を控え、リラックスした状態で眠りにつくよう心がけましょう。
ストレス管理
ストレスは肌の状態に直接影響を与えることがあります。適度な運動や趣味の時間を確保し、リラクゼーション法やマインドフルネスを取り入れてストレスを軽減しましょう。
敏感肌に効果的な保湿方法
敏感肌には、保湿が非常に重要です。適切な保湿方法を取り入れることで、肌のバリア機能を強化し、外部刺激から守ることができます。
化粧水と乳液の使い方
化粧水で水分を補給した後、乳液でその水分を閉じ込めるのが基本です。化粧水はコットンではなく手で優しく押さえるようにしてつけましょう。その後、乳液を手のひらで温めてから顔全体に薄く伸ばします。
保湿クリームの選び方
敏感肌には、香料や着色料が含まれていないシンプルな成分の保湿クリームがおすすめです。ヒアルロン酸やセラミドが配合されているものは、保湿効果が高く、バリア機能をサポートします。
湿度の管理
特に乾燥する季節やエアコンの効いた室内では、加湿器を使って湿度を保つことが重要です。理想的な室内湿度は40～60％です。
敏感肌に避けるべき成分
敏感肌の方は、以下のような成分が含まれている化粧品は避けるようにしましょう。
アルコール
アルコールは肌を乾燥させ、刺激を与えることがあります。化粧品の成分表示に「エタノール」や「アルコール」と記載されているものは避けるのが無難です。
香料
香料はアレルギー反応を引き起こすことがあります。無香料の製品を選ぶようにしましょう。
パラベン
パラベンは防腐剤として使用されますが、敏感肌の方には刺激となることがあります。パラベンフリーの製品を選択しましょう。
プロフェッショナルの助けを借りる
敏感肌の改善には、専門家の助けを借りることも大切です。
皮膚科医の診察
重度の敏感肌やアトピー性皮膚炎の症状がある場合は、皮膚科医に相談することを強くおすすめします。専門的な治療やアドバイスを受けることで、症状を効果的に管理できます。
美容アドバイザーのカウンセリング
スキンケア製品の選び方や使い方については、美容アドバイザーに相談するのも良いでしょう。自分の肌に合った製品を見つける手助けをしてくれます。
まとめ
敏感肌は、肌のバリア機能の低下によって引き起こされるデリケートな状態です。適切なスキンケアや生活習慣の改善を通じて、肌の健康をサポートすることが可能です。
正しい洗顔方法や保湿対策、生活習慣の見直しなどを実践し、必要に応じて専門家の助けを借りることで、敏感肌の悩みを軽減し、健康で強い肌を目指しましょう。
